介護士は、要介護者が安心してお世話を受けられるよう、基本的な考え方や介護技術を身に付ける必要があります。意識したいポイントは、スピードや効率よりも安全を優先した介護を行う、要介護者が自分で動けたと感じられるような自然な介助をする、相手が苦痛や不安を感じるようなやり方は避ける、介助する前に要介護者へどうしてそういった介助をするのかといった声かけや説明をし、同意を得てから介助するなどがあります。要介護者の体に触れる際は、優しく触れるようにするなど相手の体調に合わせた介助を心がけましょう。

体位変換を行う場合の基本技術としては、まず初めに要介護者と目の高さを合わせ、どんなことをするのか、説明するところから始めます。「寝返りをしましょうね」といった具合です。要介護者から同意を得て一呼吸置いた後、相手の気持ちに合わせて体をゆっくり動かします。要介護者の肌や骨はとても弱いので、無理に動かすと肌にあざができてしまったり、骨折してしまうことも珍しくありません。要介護者を支える時は、介護士はできるだけ手のひら全体を利用したり、手のひらから腕の内側までを利用するなどして要介護者に触れる面を広くするよう気を配りましょう。

介護士は、要介護者ができなさそうだからとすぐに手を出してしまうのではなく、自分でできることは自分でしてもらうよう寄り添う姿勢も大切です。少し時間がかかったとしても見守り、できない部分だけをそっと手助けしてあげるというのも介護の基本姿勢です。